dfetech/JP3TWNの日記

京大院生(修士)です。旅と勉強の記録。

廃止寸前の特急やくも(京都→岡山→出雲)を用いた出雲巡検

関西の大学生にとって、伊勢神宮ほど優れたレジャースポットはない[独自研究?]。

おかげ横丁の品揃えは魅力的だし、足を伸ばして伊勢志摩スカイラインを攻めるのも良い。

オタクの諸賢は、近鉄伊勢市駅のうんちくを語ってニヤニヤすることもできる*1

なにより伊勢神宮の神々しい光景は忘れられないものである。

 

私は伊勢神宮に3回ほど訪れているが、そのたびに出雲大社にも行ってみたいなぁと感じていた。

そんなとき、いよいよ国鉄時代の車両を使う特急やくも号が廃止されうるという話*2を聞いて、急ぎ乗ることにした。

 

旅の始まりは京都駅。コロナ前に中国人旅行客から嵯峨嵐山までの道のりを聞かれ、中国語で返答したら喜ばれたことを思い出す。英検5級未満の実力でも、外国語ができるとよい。

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のぞみ自由席で岡山へ。時間帯的にも、時勢柄も、ガラガラであった。

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岡山駅に到着。

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ここで岡山駅内のラーメン屋に入り、食する。正直なところ、「?」という感想だった*3

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岡山駅には見慣れない車両も多く並んでいて、見ていて楽しい。

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右の車両がこれから乗車するやくも号だ。「電気釜」と呼ばれるらしい面構えが旅情を掻き立てる。

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車内はリニュアール済みということもあり、他の在来線特急に比べてそれほど劣っているようにも思わなかった。

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特急やくもは山間を縫うように進み、車窓に釘付けになっているうちに宍道湖まで出てきた。動画撮影ばかりしていて車窓の写真はほとんど撮らなかったことが悔やまれる。

「ぐったりはくも」などと揶揄されるやくも号だが、たしかに本を読んだりするとあっというまに三半規管がイカれそうではある。しかし、車窓を眺めている限りは気にならない程度の乗り心地だった。オタクとしては、ぜひ積極的にグラグラしていただきたいとすら思う*4

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出雲市駅に到着。すかんぴんな駅である。

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出雲大社巡りは明日に回すとして、1日目は寿司・温泉・ドライブと優勝コンボを決めさせていただくことにした。

駅前の海鮮しーじゃっくへ。100円ネタも多くあるが、地元の漁港で上がった魚を1皿300円位で出してくれたりもする。オタクが1人旅でふらりと寄るにはちょうどよい品格の寿司屋だった。うまい。

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しーじゃっくの隣には温泉施設がある。

ranpu-no-yu.com

地元民で賑わっているが、たしかに施設はきれいで居心地が良い。コスパ抜群の寿司屋の隣に温泉施設とは、人間を堕落させる装置が完備されている。この堕落装置の真ん前にドーミーインがあるため、ここで宿泊するのも大変よろしいだろう。

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温泉で”ととのった”のち、カーシェアを借りて日御碕神社までドライブする。日没が美しく見られるとのことで、タイミングもぴったりだった。

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出雲市駅から日御碕神社までは片道40分くらいだった。峠を経由する快走路で、温泉上がりのドライブにはうってつけである。

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日没の時間帯は残念ながら薄曇りだったが、神社裏の漁港の景色は素晴らしい!釣り人も多く、見入ってしまう。良型の魚も多く上がっていたが、釣り人目当ての秋イカはあまりよくなかったようだ。

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出雲市駅に戻り、スーパーで買い出しをしてから宿へ。6000円弱という値段重視で「出雲ロイヤルホテル」を選んだが、これは良い意味で計算外だった。

ベッドはすべてお高いシモンズ製、スタッフも施設も何もかもほどよい。それもそのはずで、天皇陛下が出雲へお出ましになったときに宿泊されるのがこの「出雲ロイヤルホテル」らしい。それをHPなどで強気に打ち出さないところが、出雲ロイヤルホテルの品格高いところだ。

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スーパーで買ったマトウダイの刺身をサカナにして、しこたま酒を飲み*5、失神するように寝た*6

 

翌朝、ホテルの朝食を食べた後、出雲大社へ。バスに乗り、参道近くまで至る。

出雲市駅から出雲大社まではわりと離れていて、一畑電車というローカル線に乗るかバスに乗るかの選択肢がある。一畑電車は若干遠回りなので、普通はバスを選ぶだろう。

参道近くには、一畑電車の車両展示があった。

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いよいよ出雲大社である。その素晴らしさは私の拙い写真では伝わらないと思うので、控えめにする。

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古代出雲歴史博物館へ。ここを見てから出雲大社を見たほうがいいかもしれない。出雲大社伊勢神宮ほど見た目の派手さはなく、事前知識をもって挑まないとその魅力に気づきづらい。私も、歴史博物館をひと通り見てから再度出雲大社を一周した。

 

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太古の出雲大社はこんな高層建築物(当時)があったと考えられるらしい。これを復元すべきだと思うが、どんな形であったかは未だ不明瞭で、主張が分かれるらしい。

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出雲市駅→出雲大社のアクセスの悪さは先に述べたが、かつてはJR大社線というのが伸びていて、出雲大社付近に「大社駅(現在は廃駅)」があった。大社駅の遺構はまだ残されていて、SL時代の設備などが見られるというから見に行ったのだが…。

なお2021年令和3年)2月1日から2025年(令和7年)12月20日まで保存修理(仮設・解体)工事が行われており、駅舎を覆う囲いが設置され中に入ることはできず、外観もよく見えない[2][3]。(大社駅 - Wikipedia

実際、駅舎はまともに見られなかったが、線路跡は見ることが出来た。これはこれで趣がある。

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一畑電車出雲大社前駅から乗車。車両は新しい。これは川跡駅での乗り換え時に撮った写真。出雲大社前駅から出雲市駅までは直通しておらず、このように乗り換えが必要になっている。

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電鉄出雲市駅に到着。

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帰りはJRバスの「出雲エクスプレス京都号」に乗る。3列独立だし、ガラガラだしでとても快適だった。これで6000円ちょっと。あとで聞いた話だが、高速バスが強すぎるため鉄道でも関西→出雲の岡山経由のきっぷは割引販売しているらしい。正規料金で購入してバカを見てしまった。鉄道旅をするときはちゃんとHPを確認しなくてはならない。

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おしまい。

*1:損害について保証はできない

*2:このときは確定していなかったが、実際そうなってしまった

*3:まずくはないのだが、味に特徴がないというか…京都のラーメンに甘やかされている

*4:山間を抜ける途中にお手洗いを使ったが、猛烈に揺れまくる中での車両無いトイレにはなんとも言えない風情があった

*5:缶ビール4本、焼酎2合くらい飲んだ

*6:酒盛り終盤はかなり怪しくなっていて、「いすゞのトラック」を聞きながら涙を流した記憶がある

トヨレンの片道GOで大阪→東京格安移動

修士論文を提出し終えた開放感もつかの間、東京での新居を探すためにすぐに上京しなくてはならなくなった。

東海道新幹線には飽きたし、金沢周りもやったし、どうも静岡近辺のローカル線に興味が湧くわけでもない。

そこで、今回は片道GOというトヨタレンタカーのサービスを使って移動することにした。片道GOは広く知られたサービスであるが、要するに「金持ちがワンウェイで乗ってきたレンタカーを元の店に戻すなら、安く乗せてやんよ」ということである。

今回、大阪→東京の移動で、48時間借りて4400円、これにフルカバーの保険を足しても8000円弱であった。まる2日借りてこの値段は、大して旨味のない生協特別料金(笑)に見慣れているととても魅力的である。

 

旅の始まりは新大阪駅。なんと新大阪駅にはトヨタレンタカーが4つもある。予約していた店と異なる店舗に行ってしまったが、スタッフは慣れた様子で正しい店舗を案内してくれた。

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できるだけ下道で移動しようと思い、新大阪から天理を経由して名阪国道に乗る。

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伊賀のサービスエリアに寄り、軽く食事をした。伊賀バーガーなるものを口にするも、「これで400円ならビッグマックのほうがいいよなぁ」と凡庸な感想しか浮かんでこない。

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借りたクルマはカローラツーリングのG-Xグレード。片道GOは借りる前から車種がわかっているので、望み通りのクルマを選ぶことができるのが良い。本当はハイブリッドに乗りたかったがやむを得ない。

クルマの詳細な感想は後に述べるが、大きな誤算としてこの個体はマイナーチェンジ前のモデルであった。したがって、LTA(レーントレーシングアシスト、要するに高速でハンドルを勝手に回してくれる機構)がついておらず、LTAに劣るLDA(レーンディパーチャーアラート、車線踏みそうになったらアシストしてくれるだけ)しかついていない。かなり高性能なACC(クルコン)がついているのでアクセル操作からは完全に開放されるが、ハンドル操作からもストレスを感じなくなるLTAがついているか否かで疲労感はまるで違う。残念。

 

名古屋駅の「味仙」にて、台湾ラーメンを食べた。カップラーメンの台湾ラーメンよりたしかにうまい。ひき肉の味が力強く、にんにくの効いたスープとよく合う。しかし生卵トッピングは不要。味が薄くなる。

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ここから知多半島道路を南下し、知多半島南端の豊浜を目指す。ここは何を隠そう、人気YouTuberの「きまぐれクック」氏が頻繁に訪れている魚市場である。YouTuber効果かわからないが、土曜ということもあって殺人的混雑であった。名古屋県民の行楽にはうってつけの立地なので無理もない。

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せっかくなので海鮮丼を注文。どうみても地魚には見えない魚種ばかりが目立ち、煮え切らない気持ちになる。味噌汁は名古屋らしく味噌の味が立ち、とても美味しかった。

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時間がもったいなく感じたので東名高速に乗り、浜松へ。ここで一泊することにしている。

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EXPASA浜名湖SAで食べたちくわがとても美味しい。

熊本県の日奈久ちくわが大好物であるが、浜松のちくわも負けず劣らずおいしい。本当に美味しいちくわは魚の味がちゃんとする。

 

浜松で一泊する。宿は「グランドホテル浜松」を取った。浜松市内では一番格式高いホテルらしいが、コロナの影響で素泊まり5600円のプランがあり、それを利用した。たしかに建物は豪華絢爛なのだが、どこかバブルの匂いを感じる。ホテルの運営もデジタル化が十分進んでいないようで、効率重視のDX化とは(良くも悪くも)距離をおいているようだ。大昔、親と泊まったホテルを思い出し、懐かしい気持ちになれた。一部のマニアを除き、普通に浜松駅前のビジネスホテルに泊まることをおすすめしたい。

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浜松駅内にある漁協直営のうなぎ屋でうなぎを食べる。本当はゆるキャン△で志摩らが訪ねていた店に行きたかったが、超人気店でとても入れる状況ではないらしく、妥協した。ここで食べたうなぎはどうも脂っこく感じた。僕が主にうなぎを食べるのは九州筑後川沿いだから、調理方法が違うのだろうか。コスパは良いように思うが。

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浜松駅は土曜の20時だというのに、がらんとしていて寂しい。街の規模と人通りがどう考えてもあっていない。コロナによる影響なのか、そもそも駅前で遊ぶような血気盛んな人口はさほど多くないのか…。

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おはようございます。浜松は今日も清々しい朝。日本海側(京都)に住んでいると、太平洋側の晴天がたまらなく恋しくなる(千葉出身)。

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今日の目当てはスズキ資料館。スズキ自動車の展示がずらり並ぶ、オタク垂涎の名所である。見学無料というのも素晴らしい。

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スズキが「小さくて安いクルマ」にかける想いはとてつもないということがよく分かる。この優位性が、電動化によって失われかねないのはとても残念だ。


スズキ資料館を出て、超有名ハンバーグ店「さわやか」へ。開店凸したのに先客が多く並んでいて、30分程待った。

げんこつハンバーグはとても美味しい。ぜひ東京にも出店してほしいが、こだわりの半生状態を出すのに静岡以外だと保健所がうるさいらしい。

さわやかの店内にいる、同い年くらいの夫婦(子連れですらある)を見ていると、親のすねをかじって大学院まで出てしまったことにいささか罪悪感を覚えなくもない。

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さわやかの魅力に、従業員の活気も挙げられるだろう。サービスの品質はとても高く、良い人材活用が出来ているように思えた。多くの消費者に支持される商品を提供し、対価を得て、人材に還元する。まさに企業経営の模範と言える存在だ。

 

浜松を出発し、東名高速で東京を目指す。途中、牧之原SAで「青春ブタ野郎」の看板を目にした。青春ブタ野郎はひと通り見たし、劇場版は映画館まで足を運んだ。ラストの展開にいささか疑問を感じたものの、とにかく作画の良いアニメだった。私は「古賀推し」なので、グッズは買わない。

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途中、沼津で高速を降り、沼津港へ。言うまでもなく、ラブライブサンシャインの舞台を期待していたが、沼津港には必ずしも十分なラブライブ要素が供給されているわけではない。そういえば、沼津市内はそれほどラブライブの重要拠点じゃなかったね。

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沼津丼を食べる。しらすやえびが実にうまい。観光地価格とはいえ、十分満足できた。

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どうやらオタク・情報雑誌で紹介されていたらしい。やはり、オタクが勧めるものに外れはないという時節が裏付けられてしまった。

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クルマで20分ほど移動し、内浦へ。ここはラブライブサンシャイン劇中で極めて重要な存在である「千歌ちゃん家前の砂浜」のモデルである。ここで汗まみれ・血まみれになってバク転の練習をしたのか…。

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結局、あらゆる旅行の中で最も感動的なのはアニメ聖地巡礼ではないか、とすら思ってしまう。それくらい、劇中そのままの海岸に感動し、しばしたそがれてしまった。

 

その後東名高速首都高速を使ってトヨタレンタカー日暮里駅前店に到着。長い道のりだったが、無事故無違反で終えることが出来た。

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カローラツーリングはその名の通り、長距離をツーリングするのに最適と言えるだろう。クルコンの性能は抜群で、ほとんどアクセル操作にストレスを感じることはない。これにLTAが加われば、途中宿泊を挟まずとも、運転なれしていない方も大阪東京間の移動は余裕だ。

乗り心地もよいし、燃費も17km/L程度だった(満タン法による計測)。こんな車を作るメーカーが世界一の販売台数を誇るのは当然だろう。

 

トヨタの凄さ、スズキの魅力、ラブライブサンシャインへの情念を胸に、この旅行を終えることが出来た。